先日、息子と夫の妹と大阪に遊びに行きました。
ツリーのイルミネーションがめっちゃきれいでした。
行くとき、広島駅で20歳位の青年に声をかけられました。
携帯電話を貸してもらえませんか?
みなさんならどうしますか?
貸しますか?
私も一瞬迷いました。
でも、その青年を見ると困っていることは伝わってきました。
多分、何らかの発達障害、おそらく自閉症スペクトラム症の中に位置するんじゃないかと想像して、
(私は医者じゃないし、生育歴とか普段のことを知ってるわけではないので完全に従事者としてのカンですが)
何のために使いたいんですか?
と問いました。
すると、
困っているので家に電話がしたいです。
とその青年は答えてくれました。
そうですか。では、どうぞ。
と電話の画面をだしてスマホをお貸ししました。
青年は慣れた手付きで家に電話をかけ、母親らしき人と会話をしたあと
はっきりと
ありがとうございました。
と言って、スマホを返してくれました。
私が
(困りごとの解決方が)わかりましたか?
と聞くと
はい。
と青年は答えたので、
良かったですね。
と返しました。
そして、その青年は去っていきました。
それから数分経って知らない番号から電話がありました。
おそらく、先程の青年の関係者だろうと思って電話にでると、
彼の母と名乗る方からでした。
そして、彼のお母さんは少しいらだった様子でこう言ったんです。
「なんで公衆電話を使わないんでしょうね⁈」
私は、事情は全く知らないしわからないけれど、なんだか悲しくなりました。
そして、彼のお母さんにこういいました。
今どき、公衆電話を探すのは難しいですからね。
自分から人に話しかけて電話を借りられる能力があるのはとてもすごいことだと思いますよ。
もしかしたら、
「貸すんじゃなくて、公衆電話を探すように言ってくれ!!じゃないと、誰からでも借りれるって思うじゃないか!!」
と、そのお母さんはお怒りだったかもしれない…。
でも、その彼少しの時間その付近をうろうろしてたんだよ。
本当は、
お母さん、スマホ持たせてあげてよ。
って言いたかったんですが、もしかしたら今日たまたま忘れたのかもしれないですし、ね。
手付きも慣れてたし。
でも、もしかしたらスマホ持たせてもらってないのかもしれない。
そこはわかりませんが、もしリスクばかりを考えてスマホをもたせていないとしたら、親が生きているうちにスマホのトラブルをあらかた知っておいてほしいな、と思いました。
確かに、スマホは上手に使わないと困ることはいろいろ出てきます。
でも、知らないといろんなことに手間やエネルギーがかかってしまったり、機会も失ってしまったりします。
子どもにだって
失敗する権利があるんです。
子どもの失敗する権利を奪わないでほしいな、と思います。
親の監督下にあるうちに安心して失敗できることが私は大切だと考えています。
だって、20歳を過ぎてしまったら、規模も大きいしすべて自己責任になってしまうから。
障害があるならなおさらです。
障害がなくてもです。
小さなやけどをするまで待ってみて、そこで
という話を一緒に考えたり、小さな失敗で後悔したりすると、子ども自身も少しずつ付き合い方がわかるようになってきます。
それに、発達障害の人だけでなく誰でもスマホとか新しいテクノロジーとの付き合い方は難しいものだし。
だから、危ないから、トラブルの元だから、と簡単に切り離すんじゃなくて、
一通りリスクに対する情報提供をした上で、子どもが使える状況を作ることも大切だと考えます。
それにね、子どもだって親に秘密にしたいことありますよ。
ここでも話を書いていますが
秘密って大人になるうえで結構
自分の生存権
や
尊厳
と関わってくるんじゃないですかねぇ。
発達障害の人でスマホを上手に使って自己管理している人はたくさんいます。
ある生徒さんは
自分は忘れっぽいからアラームを設定している
とか
約束とかは全部メモに入れている
とか
別の不安が強い子は
自分は不安を感じやすいから、不安になってしまったときに自分を落ち着ける言葉を書いてホームに貼り付けている
とかそんな使い方を教えてくれました。
もう10年以上昔ですが、別の生徒さんで、親が
「インターネットは危険だから!」
と
家ではインターネットもスマホも触らせないということがありましたが、子どもは調べ物とか本当に大変だったし、
これからいやでも付き合っていくインターネットをただ遠ざけるだけの対処法は限界があって、
それこそ、友達の家で使ったり、こっそり借りたりしていましたよね。
それに、我慢すると1.5倍やりたくなるんですよ。
いくらでも抜け道もあるし、子どもはそういうことには命かけているから親以上の情報で絶対こっそりやったりします。
そうなると、困ったときに親に相談できないんですよ。
そうして、小さなトラブルが大きなトラブルになったりするんです。
それだったら、事前に情報を提供してルールとかリスクとか一緒に考えて、
困ったら一緒に考えよう!
と共同体として手を組んでおいた方がいいと思うんですよね。
なので、子どもがスマホに興味を持ったら、または所持する必要が出てきたら、
持つ前の共同体としてのコミュニケーションがとても大切です。
ただただ、遠ざけるだけの対処法は子どもを困らせる結果になることをお忘れなく…。
なにはともあれ、件の青年は自分から声をかける、困りごとをわかりやすく伝える、お礼を言う、というスキルが使えるレベルで身についていてよかったです。
まとめ
スマホってうまく使えばとっても便利ですが、本来やるべきことから目をそらせるものになったりもします。
でも、それってスマホだけじゃないですよね。
本だって、買い物だって、テレビだって、なんなら寝ることだって同じです。
どちらにしろ、トラブルだけを考えて遠ざけるんじゃなくて、自己コントロールを身につけることとコミュニケーションがとても大切になります。
大人だって別に上手に使えるわけじゃないですからね…。
今日も読んでいただきありがとうございます。